健康診断や腹部エコー(腹部超音波検査)で、医師から「NETの可能性があります」「神経内分泌腫瘍かもしれません」といわれると、不安になりますよね。
「腫瘍って、がんなの?」
「すぐに手術しないといけない?」
「命にかかわる病気なの?」
このような疑問を持つ方も多いと思います。
この記事では、腹部エコーでNET(神経内分泌腫瘍)が疑われたときに知っておきたいことを、できるだけわかりやすく解説します。
NET(神経内分泌腫瘍)とは?
NETとは、神経内分泌細胞という特殊な細胞から発生する腫瘍です。
神経内分泌細胞は、体のさまざまな場所に存在しており、消化管や膵臓などにもあります。そのためNETは、
- 胃
- 十二指腸
- 小腸
- 大腸
- 直腸
- 膵臓
などに発生することがあります。
腹部エコーで見つかるNETとしては、特に膵臓のNET(膵神経内分泌腫瘍:pNET)が問題になることがあります。
ただし、腹部エコーだけで「NETと確定」できるとは限りません。
腹部エコーで「NETの可能性がある」といわれた場合は、通常、CTやMRI、必要に応じて超音波内視鏡(EUS)などを行って詳しく調べます。
「NET=すぐに進行するがん」ではありません
NETと聞いて最も心配になるのが、「がんなのか」ということだと思います。
NETには、比較的ゆっくり大きくなるものから、悪性度が高く進行しやすいものまで、さまざまなタイプがあります。
わかりやすくいうと癌ではないが癌のように転移したり増大する悪性の腫瘍という認識でよいと思います。
一般的な「がん」のイメージだけで、「すぐに命にかかわる」と考える必要はありません。
一方で、NETの中には悪性度が高く転移する可能性があるものもあります。そのため、NETが疑われた場合には、腫瘍の大きさや場所、画像検査の結果などをもとに、きちんと評価することが大切です。
腹部エコーだけでNETと診断できる?
結論からいうと、腹部エコーだけでNETと確定診断できないことも多いです。
腹部エコーでは、腫瘍の
- 大きさ
- 形
- 場所
- 周囲との関係
などを確認できます。
しかし、膵臓などにできた小さな腫瘍については、「NETらしい」と考えられても、他の病気との区別が必要な場合があります。
そのため、通常は追加で以下のような検査を行います。
① 造影CT
造影剤を使用して、腫瘍の血流や周囲への広がりを詳しく調べます。
NETは血流が豊富なことがあり、造影CTの画像が診断の重要な手がかりになります。
② MRI・MRCP
MRIは、特に膵臓や肝臓を詳しく調べる際に役立つ検査です。
CTだけでは判断が難しい場合に、追加で行われることがあります。
③ 超音波内視鏡(EUS)
胃や十二指腸の中から、膵臓を近い距離で観察する検査です。
通常の腹部エコーでは見えにくい小さな病変も、より詳しく確認できることがあります。
必要に応じて、EUS-FNAやEUS-FNBという針生検を行い、腫瘍の組織を採取して詳しく調べることもあります。
NETが見つかったら、必ず手術?
必ずしも、すぐに手術が必要とは限りません。
治療方針は、主に以下のような点を総合的に判断して決めます。
- どこにNETができているか
- 腫瘍の大きさ
- 増大傾向があるか
- 転移があるか
- 病理検査での悪性度
- 年齢や全身状態
例えば、比較的小さく、悪性度が低いと考えられる場合には、すぐに手術をせず、定期的な画像検査で経過をみることがあります。
一方で、腫瘍が大きい場合や、転移の可能性がある場合には、手術などの治療が検討されます。
大切なのは、「NETといわれた=すぐに手術」と決めつけないことです。
検査結果をもとに、その方に合った治療方針を考えていきます。
「機能性NET」と「非機能性NET」の違い
NETの中には、ホルモンを多く作るタイプがあります。
これを機能性NETと呼びます。
例えば、膵臓にできたNETがインスリンなどのホルモンを過剰に分泌すると、特有の症状が出ることがあります。
一方で、ホルモンによる症状がほとんどないタイプは、非機能性NETと呼ばれます。
非機能性NETは、症状がないまま健康診断や腹部エコーで偶然見つかることもあります。
「症状がないから大丈夫」とは限りませんが、症状がない状態で偶然見つかることも珍しくありません。
NETが疑われたときに注意したい症状
NETの場所やホルモンの分泌によって、さまざまな症状が出ることがあります。
例えば、
- 原因のはっきりしない腹痛
- 黄疸
- 体重減少
- 繰り返す低血糖のような症状
- 動悸や発汗、手の震え
- 下痢が続く
- 顔が赤くなる発作
などです。
ただし、これらの症状があるからといって、必ずNETというわけではありません。
また、NETがあっても症状がまったくないこともあります。
腹部エコーで「NETかもしれない」といわれたら、何をすればいい?
まず大切なのは、慌てずに追加検査を受けることです。
腹部エコーは非常に優れた検査ですが、一度の検査だけで腫瘍の正確な性質まですべて判断できるわけではありません。
まずは、
- 腫瘍はどこにあるのか
- 大きさは何mmなのか
- NETがどの程度疑われているのか
- CTやMRIなどの追加検査が必要か
- 専門医への紹介が必要か
を確認しましょう。
特に膵臓の腫瘍が疑われた場合には、消化器内科や膵臓を専門とする医療機関で詳しく評価することが重要です。
よくある質問
Q.NETは良性ですか?悪性ですか?
NETは一律に「良性」「悪性」と簡単に分けられる病気ではありません。
比較的ゆっくり進行するものもあれば、転移する可能性があるものもあります。
腫瘍の大きさや広がり、組織検査などを総合的に判断します。
Q.NETといわれました。すぐにがんセンターへ行くべきですか?
まずは、追加検査で本当にNETなのか、どの程度の病変なのかを確認することが重要です。
ただし、診断や治療の内容によっては、NETや膵臓の治療経験が豊富な専門施設での診療が望ましい場合があります。
Q.小さいNETなら放置してもいいですか?
自己判断で放置するのはおすすめできません。
小さなNETの中には、定期的な検査で経過観察できる場合もあります。しかし、「放置」と「医師の管理下で経過観察すること」はまったく違います。
経過観察をする場合でも、定期的なCTやMRIなどで変化がないか確認することが大切です。
Q.腹部エコーでNETといわれましたが、症状がありません
NETは症状がない状態で偶然見つかることがあります。
症状がないことだけで安心するのではなく、必要な追加検査を受けて、腫瘍の正確な性質を調べましょう。
まとめ|「NETかもしれない」といわれても、まずは落ち着いて詳しい検査を
腹部エコーでNET(神経内分泌腫瘍)の可能性を指摘されると、とても不安になると思います。
しかし、「NETの可能性がある」といわれた段階では、まだ詳しい検査が必要なことも少なくありません。
NETにはさまざまな性質があり、
- 比較的ゆっくり進行するもの
- 定期検査で経過観察できるもの
- 手術などの治療が必要になるもの
があります。
そのため、最も大切なのは「NETといわれたから怖い」と一人で悩むことではなく、CTやMRI、必要に応じてEUSなどの検査を受けて、正確な診断を行うことです。
検査結果をもとに、腫瘍の大きさや場所、性質に応じた治療方針を考えていきましょう。
腹部エコーでNETを指摘された場合は、自己判断で放置せず、まずは担当医や消化器専門医に相談してください。

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